介護記録・日誌の書き方とケアプラン作成ポイントをプロが解説!

介護支援・介護保険



介護現場で重要な役割を果たすのが、介護記録や日誌です。これらは利用者の健康状態を把握し、ケアプランを適切に作成するための情報源となります。正確で一貫性のある記録は、介護の質を向上させるだけでなく、職員間の情報共有にも役立ちます。このページでは、介護記録や介護日誌の必要性から、具体的な書き方のポイントや種類、そしてケアプランの作成について解説しています。

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介護勤務シフトの作成で注意すべき点

介護職の勤務シフト作成では、夜勤もあるため組みづらさがあるのも事実です。
そのうえ、利用者や働くスタッフの状況にあわせたシフトを組む必要があります。
時間も手間もかかり苦戦している方が多いのも事実です。

<優先度:◎>

  • 現場で必要となる人員構成を把握する
  • 法律や行政で決められている配置基準を守る

<優先度:◯>

  • スタッフの希望休や、出勤日が固定しているスタッフ、イベント日など、変更がききにくい日からシフトを組む
  • 負担の大きい夜勤のシフトを優先的に組む



自動作成ソフトで介護勤務シフト作成業務の負担を減らす

上記のようなさまざまな条件に配慮したうえでシフトを作成するのは、とても大変です。
そのため、介護勤務シフトを使うと、毎月の作業時間を大幅にカットでき、手間も省くことができます。

パソコンやタブレットでシフト作成している方がほとんどだと思います。
エクセルの介護勤務シフトソフトで作成するのも苦ではないでしょう。
手間が省けるだけでなく、以下のようなメリットもあります。

  • スタッフの希望などを登録しておくと、システムが自動でシフト作成する
  • 夜勤の回数や1カ月あたりの休日が十分か確認してくれる
  • 公平なシフト表がつくれるため、スタッフの満足度も高まる
  • マネージャーでなくても作成管理ができるようになる

限られた人員で、利用者に安心・安全なサービスを提供するには、業務の効率化が欠かせません。
無料のフリーソフトやテンプレートもあるので、自社にあったソフトを活用しましょう。
少しでも負担を減らし、働きやすい環境づくりに改善してください。



介護日誌・介護記録の必要性

介護の方法として、介護施設に入院したり、介護付き老人ホームなどに入居して医療行為や介護行為を受けたり、自宅でデイサービスを受けたりとさまざまなケースがあります。
また、介護を受けないようにするための介護予防支援などもあります。

こうした介護や介護予防では、介護行為だけでなく、介護日誌や介護記録を作成することも重要です。
介護日誌や介護記録を作成することで、要介護の人の個人ごとの介護経過などがわかり、介護の担当者に変更があったとしても、引き継ぎや申し送りが容易にできるようになります。

また、今後のケアプランをたてるのに役に立ちます。ケアプラン作成とともに重要なのが、国保連への給付管理や給付費の請求です。
こちらも介護記録を付けることで、必要書類の作成や管理が行いやすくなります。
このように、介護施設やデイサービスなどで介護日誌や介護記録の作成することは、多くの事務業務を効率化することにつながります。

介護記録や介護日誌に記録された日々の情報は、情報共有のためだけではなく、利用者の日々の生活の証です。
また、利用者・家族と介護者との信頼関係を深める役割も果たします。

一方、介護に関する事故や訴訟は年々増加傾向にあります。
日々真摯に利用者と向き合っていても正確な記録が残されていなければ、社会的な責任を問われることもあります。
正確な介護記録や介護日誌をつけることで、業務の引き継ぎがスムーズにできます。
介護行為の証としていざというときに介護者にとって強い味方にもなります。

介護記録・介護日誌の種類

介護記録は、次のことを目的としたものにわかれます。
様式や書き方は介護施設等によって異なります。
・介護方針を決める
・利用者理解
・情報共有(介護内容を証明)

ケアプラン(介護サービス計画書)

ケアマネージャーが作成する。
利用者一人ひとりの介護の長期目標・短期目標や援助内容を書く。
介護者は目標を達成できるようケアプランにそったサービスをおこなう。

フェイスシート

「利用者の情報シート」である。
利用者の家族構成や生活、病歴、趣味、服用中の薬や緊急連絡先、在宅の場合は家の間取図や近隣情報などを記入する。
利用者一人ひとりを理解した上でサービスをおこなうために必要である。

介護記録・介護日誌

担当の介護職員や看護師、生活相談員が作成する。
日中の様子や睡眠の様子などの時間を追って記す介護日誌である。
「どんなことをしたか」だけでなく、できたことや前向きな言動を書く。
何も変わったことがなかった場合も、印象に残った言葉や場面を書き、目標に対する課題やニーズの発見に役立てる。
また、介護記録や介護日誌は、介護サービスを提供した証明となり、万が一事故などが起きた場合、法的な証拠にもなる。

業務日誌・連絡ノート

職員が記入する。
業務日誌は主に、在籍人数や入所・退所者、来訪者、外泊者、ショートステイ利用者数、イベントの内容や参加人数など、施設や事業所の一日に起こったことを記録する。
職員間の連絡事項を共有する。
また、デイサービスやショートステイでは、家族と介護者間の連絡ノートで家族からの要望や利用者の様子を共有する。

事故・ヒヤリ・ハット報告書

事故の再発防止に向けて、事故内容や対応、対策などを記録する。
事故を寸前で回避できた場合も報告書を書き、未然に防ぐために共有する。

チェックシート

利用者一人ひとりの起床・就寝時刻、食事や排泄回数・内容、バイタル、服薬などの項目を毎日記録する。
チェックシートを活用し、利用者の生活の質を向上させるための対策を話し合う。

介護記録・介護日誌をつけるときのポイント

介護記録や介護日誌をつけるときは、読み手のことを考え、時系列(時刻を書いておく)で経過がわかるように書きます。
「ですます体(敬体)」ではなく、「〜である・〜だ(常体)」で記録します。
記録を読んだ別の介護者や家族が理解できるよう具体的な様子、症状を書くといったことを気をつけましょう。

基本ルール

・「〜である・〜だ(常体)」で記録
・過去形で書く
・主観を省き、事実を具体的に記録

利用者が食事したことを記録する際、「◯時◯分 昼食」だけではいけない。
「◯時◯分 昼食の時間になったが、食欲がなかった。理由を聞くと、頭痛がしていたようでしばらく様子をみる」と、その人の様子や状況が他の人でもイメージしやすいように書きましょう。

介護記録は、基本的に起こったことや行ったことから少し時間をおいて書くため、「過去形」です。
現在進行形の場合は、現在形で記すようにします。

記録する際に注意すべきなのは、介護者(記録をつける人)の主観ではなく、利用者の言葉や事実を書くことです。
言葉で表現することが難しい利用者であれば、介護者が質問しながら要約して記録しましょう。

×「ベッドから落ちて、痛そうだった」(事実+介護者の主観)
◯「ベッドから落ちて、顔をしかめて足首が痛いと言った」(事実+利用者の言葉)

書き方に迷うときは5W1Hを意識すると、書きやすくなります。
・Who(誰が)
・When(いつ)
・Where(どこで)
・What(なにを)
・Why(なぜ、どうして)
・How(どのようにした)

例)14:30 レクレーションに参加。利用者の◯◯さんと大きな声で童謡を歌っていた。ほかの利用者さんに自ら話しかけ、笑顔がみられた。

ばらつきがでやすい表記を統一する

介護記録があいまいな内容や、介護者(記入者)の推測や主観で記録すると誤解が生じることもあります。
また、必要な情報が伝わらず、十分なサービスが提供されません。特に、時刻、場所、数値・量、情報源を明確にして書くことが求められます。

明確なルールが定められておらず、介護者によって書き方にばらつきがある場合は、一度ルールを明文化しておくといいでしょう。

年月日・時刻

西暦(2022年)、和暦(令和4年) ⇒ 統一する
◯月◯日、◯/◯ ⇒ 統一する
◯時◯分、◯:◯、午前◯:◯ ⇒ 統一する
夕食後に、◯:◯夕食後に ⇒ 統一する

呼び方

◯◯さん、◯◯さま、◯◯氏 ⇒ 利用者や家族などの呼称は統一する

数値・量

平熱 ⇒ 36.4度
だいたい食べた ⇒ 3/4食べた
少ししか飲まなかった ⇒ ◯cc飲んだ
小さなあざができた ⇒ ◯×◯cmのあざが右ふくらはぎ中央にできた

介護者の主観や推測で記録しない

介護日誌をつける際、介護者(記入者)の主観や推測で書いたものは、事実とは異なることがあります。
大きな誤解に発展することもあるので、基本的に「利用者自身の言葉」や「客観的な事実に基づいて具体的に記録する」ことを心がけましょう。

NG例)
「周りの人と楽しそうに笑っていた」
「レクリエーションに参加し、楽しそうだった」
「俳句の時間はつまらなさそうだった」

上記にあげた例は、介護者(記入者)の推測や主観が入っています。
「楽しそうだったか」「つまらなさそうだったか」は、本人がそういっているわけではないのでわかりません。

OK例)
「隣の◯◯さんと将棋の話をしながら時折笑っていた」
「体操のレクリエーションに参加したあと、「楽しかった」と言っていた」
「俳句の時間は元気がなかったので聞いてみると、「眠たかった」と話してくれた」

OK例のように、利用者自身の言葉や事実に基づいて記録することで、どんな交流関係か、何に対してのアクティビティを楽しめているか、など利用者への理解が深まります。
また、そうした介護日誌があることで、スムーズな引き継ぎや情報共有ができるようになります。

読み手に合わせた介護記録に

介護記録や介護日誌、連絡ノートを介護者ではなく、利用者自身や利用者の家族が読む場合は、簡略した言葉や専門用語ばかりにならないよう気をつけることも大切です。

難しい専門用語は避けて、言い換える。
BP  → 血圧
PT  → 理学療法士、ポータブルトイレ
PEG  → 胃ろう
自走 → 自力で車いすを動かすこと

利用者の暴力行為や暴言に対しては、事実はそのまま書きます。その上で、その行為に至った原因や背景を考え、どのような対応をしたかを書くと読み手である家族も納得されるでしょう。

略語や専門用語は避ける。
排泄介助をした → トイレでズボンの上げ下げを手伝った
全身清拭    → 身体全体を拭いた
ADLの低下    → 杖での歩行が難しくなり、車いすでの移動
左に体交    → 身体の向きを左にした

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