減価償却費とは?計算方法や勘定科目を解説!

会計・経理、税金計算



このページでは、減価償却費の計算方法や勘定科目について解説しています。
 ・固定資産の減価償却、減価償却の対象、減価償却制度の目的
 ・10万円超えの備品・機械の減価償却費のシステム化
 ・資産の減価償却計算で基礎となる価額である取得価額の求め方
 ・農業減価償却計算、家畜などの減価償却、果樹の減価償却
 ・会社の合併による減価償却計算の取得価額の決め方のポイント
 ・減価償却計算で劣化の事象を会計システムに反映させる
 ・減価償却資産は費用として計上し納税負担を軽減
 ・減価償却計算は無料ソフトウェアやエクセルを上手に活用



減価償却とは

減価償却といえば、年々価値が下がっていく資産を購入したときの処理のようなものです。そもそも減価償却や減価償却費計算など、言葉として聞いたことはあるもののよくわかりにくいと思っている人もいるかもしれません。減価償却費の考え方や、それぞれの資産による違いなども含めて、わかりやすく解説していきたいと思います。また、固定資産管理や固定資産税計算についても覚えておきましょう。

事業を経営するときなど、必ず避けて通れないものといえば「減価償却」ではないでしょうか。確定申告はもちろん、決算、財務分析などに大きな影響を与えるものです。減価償却費計算については、初心者にとって想像以上に難しさを感じるかもしれません。

固定資産の減価償却

そもそも減価償却は、固定資産を使用した期間に従い費用を計上するときに使う勘定科目になります。減価償却明細書や減価償却一覧表などに書き記されるものになり、固定資産管理に影響するものです。

減価償却の対象

減価償却計算によって、固定資産税計算なども行われています。減価償却の対象になるのは、主にパソコン、車(機械)や不動産、事業に使う道具などが対象になります。購入した代金を、購入した年に一度で計上するのではなく、分割して少しずつ減価償却費として計算していきます。

減価償却制度の目的

これは、「年月が経つことによって劣化、精度が落ちて価値が減っていくものを、一定額や一定の割合で分割して費用にする」目的があります。減価償却は減価償却一覧表や減価償却明細書などに記載されています。



エクセルやフリーソフトのアプリやツールで計算・管理

減価償却の基本について、Excel(エクセル)のテンプレートやフォーマットを使いこなしていきましょう。簡単に人気が比較できるおすすめクラウドランキングなども参考にすると便利です。ソフト(ソフトウェア)はもちろん、フリーソフトも充実していますし、アプリやツールなどのシステムも使いこなしましょう。フリー(無料)ダウンロードにも便利なものはたくさんありますよ。



10万円超えの備品や機械は減価償却が必要

1つあたり10万円を超える備品や機械を購入した場合は、購入金額の全額を一括で経費にすることができず、固定資産として処理します。固定資産は複数年使うことができるため、購入金額を毎年少しずつ経費にしていきます。これを減価償却といい、その年に経費になる金額を減価償却費といいます。減価償却費を計算するためには、取得原価と耐用年数、償却率が必要です。減価償却費は、取得価額×償却率で計算します。

取得原価は、固定資産の購入金額だけではなく、据え付け費など購入からその固定資産を使用するまでにかかった費用も含みます。耐用年数は、減価償却する年数のことです。固定資産の種類によって決まっています。

減価償却には、定額法と定率法の2つの計算方法があります。定額法と定率法それぞれ、耐用年数に対応する償却率が決まっており、その償却率を使って減価償却費を計算します。通常の減価償却費の計算のほかに、3年償却や少額減価償却資産の特例などの特例もあるため、減価償却を正しく行うためには、正しい知識が必要です。



定額法と定率法、どちらで計算するか

減価償却費を計算する方法として、「定額法」と「定率法」の2つがあります。それぞれの特性と利点について詳しく見ていきましょう。

定額法は計算がシンプルで、毎年同じ額の減価償却費を計上する方式です。これにより費用の予測が容易になり、長期的な資金計画を立てる際にも一貫性が保てます。例えば、年間1,000万円の設備を10年間で償却する場合、毎年100万円の減価償却費を計上することになります。企業にとっては、安定したキャッシュフロー管理が可能になります。

一方、定率法は初年度に多くの減価償却費を計上できる点が特徴です。これは、取得直後の資産に対して適用される償却率が高いためです。例えば、同じ1,000万円の設備を初年度に40%の償却率で計算すると、400万円の減価償却費を計上できます。これにより、初年度の税負担が軽減されるため、新たに多額の投資を行った場合に特に有利です。企業が設備投資を頻繁に行う場合、一時的な税コストの抑制が可能になるという利点があります。

さらに、償却方法の選択は企業の経営戦略にも影響を及ぼします。例えば、新興企業やベンチャー企業など成長フェーズにある企業は、初期の税負担を低減したい場合が多いため、定率法の採用が適しているかもしれません。一方で、安定期にある企業は定額法を選択することが多いです。安定した収益の中で減価償却費を一定額にすることで、長期にわたる費用管理がしやすくなります。

どちらの方法を選択したとしても、最終的な償却額は同じになる点も重要です。つまり、対象資産の耐用年数が終了するまでには、資産の全額が償却されることになります。ただし、定率法は高い税率を課税される所得部分の軽減効果があり、最終的に見れば総合的な節税効果が大きくなる場合があります。

定率法と定額法のどちらを選択するかは、企業の経営スタイル、資金計画、投資フェーズなどを総合的に考慮して決定する必要があります。それぞれの特性をよく理解し、自社の状況に最も適した方法を選択することが重要です。減価償却費の計算が適切に行われることで、経営の効率化と持続可能な成長が期待できるでしょう。



減価償却費のシステム化

資産の中には償却資産や土地など償却しない種類もあれば、企業によってはリース物件を多く所有しているケースもあります。特にリース物件は、部門や勘定ごとに詳細に管理できる機能性の高さが求められます。

会計業務で厄介になる処理の一つとして、減価償却費の計算があげられます。減価償却の計算をシステム化する際には、これまでの減価償却費の管理方法から移行する必要があります。こうした管理ではCSV形式で記録することも多くあるため、システム化に伴い、CSV形式から自動で取り込める機能があれば、手早いデータ移行が可能になります。登録や変更から検索なども、比較的簡単な操作で行える機能性もまた非常に重要なポイントです。

会計ソフトを導入するときに会社に合ったものを入れることは重要です。もしそれができなければ逆に不便になり、業務の効率性も落ちてしまいます。また、自分たちで操作できないソフトウェアを導入すればシステム化することも叶いません。

有用な面の多い減価償却費のシステム化にも、減価償却費のみをシステム化できないことなど、いくつかの課題は存在しています。費用配分の側面はビルや車などは一日限りで使うものではなく、長い年月をかけて使います。毎年少しずつ費用に分け、持ちビルや車の費用を考えなければなりません。

減価償却費とは損益計算書に計上するものなので、これをシステム化するには損益計算書のシステム化と同じくして行うことになります。
さらにデータを連動させることにより、経営判断に必要な管理帳票も、コストをかけずシステム化することができるようになります。

資産の減価償却計算で基礎となる価額である取得価額の求め方

取得価格とは、資産を取得または製作するためにかかった費用のことをいいます。減価償却費計算によって合計額が取得金額になります。主に取引運賃・荷役費・運送保険料・購入手数料などが対象です。他にもその資産を事業として減価償却費計算(減価償却明細書&減価償却一覧表)に加算した金額になります。減価償却費計算自己の建設などによって取得した場合も対象になります。建設のためにかかった原材料費や労務費などの経費や、事業のために直接要した費用なども、減価償却明細書と減価償却一覧表に記します。

減価償却一覧表と減価償却明細書には、建設時の金融機関からの融資を受け、借入金などの支払利子に関しても、取得価格に算入しない計上もできます。減価償却明細書や減価償却一覧表を見ないとわかりにくいものもなるので、しっかりと把握しておきたいものですね。固定資産税計算や固定資産管理なども含め、頭に入れておきましょう。

農業減価償却計算

償却資産税計算において、牛や馬などの自分が生育したものはどうなるのでしょうか。農業減価償却の生物のなかでも牛・馬・豚・羊・やぎは人間に役立つものです。主に成熟してからがメインになり、農業減価償却の事業用として計上することになります。

家畜などの減価償却

牛や馬などは成熟した年齢の基準が違うので、それぞれの用途に使われて年齢から減価償却の対象にします。農業減価償却の取得価格について成育させるまでに取得した購入代金、種付費や出産費、飼料費・労務費・などの経費の金額や事業用にするまでに直接要した費用などを、償却資産申告書や償却資産税計算に活用します。固定資産管理や固定資産税計算なども含め、農業減価償却のどこまでが取得費用になるのか把握する必要があります。

果樹の減価償却

果樹の固定資産税管理や固定資産税計算についても牛や馬と同じです。成熟するまでに時間がかかることもありますし、果樹によっては成熟の期間に違いがあります。償却資産税計算や償却資産申告書に記載したうえで、農業減価償却それぞれの耐用年数に応じて減価償却する必要があります。果樹にかかる購入等の代金や、種や苗の費用、取得した果樹の成熟のために要した肥料費、労務費なども必要となります。償却資産申告書や償却資産税計算などを考えたときに、農業減価償却など人間が営む事業とは違うものと判断されやすいのですが、実はとても深い関係性があります。

会社の合併による減価償却計算の取得価額の決め方のポイント

会社の合併は今では珍しいものではなくなりました。償却資産税計算や償却資産申告書などの扱い方について、難しいと感じている人もいると思います。合併した会社のほうは固定資産管理や固定資産税計算などに大きな違いはないものの、被合併会社が保有していた資産については、いくらの減価償却にしたらいいのかわかりにくいと思います。

被合併会社の取得価額

固定資産管理や固定資産税計算において、合併する日の属する事業年数において資産の償却限度額を計算する基礎とするべき取得価格や、事業の用に供するための要した費用の額になります。償却資産申告書や償却資産計算なども含め考えなくてはいけません。
また、事業の経営に関わる一般管理費やその他の費用も損失として必要経費や損金として処理するケースもあります。償却資産申告書や償却資産税計算なども含めて計上しなくてはいけないものになります。

マンション減価償却や建物減価償却も費用として考える

不動産減価償却について考えたときに、同時にマンション減価償却や建物減価償却についても費用として考えておくことも求められます。不動産減価償却(マンション減価償却・建物減価償却)の計算として定率法や定額法がありますが、主に求められるのが、不動産収入がある場合と、売却するケースです。

不動産減価償却費の計算

不動産減価償却(マンション減価償却・建物減価償却)は事業を行っている人以外も対象になります。定率法や定額法など聞き慣れない言葉はあるにしてもある程度は把握しておく必要があるものです。不動産減価償却(マンション減価償却・建物減価償却)においてはまずは取得費から計算し、耐用年数の計算をしながら定率法や定額法などを出していきます。不動産減価償却(マンション減価償却・建物減価償却)を出すためには償却率の確認なども必要になります。

減価償却計算で劣化の事象を会計システムに反映させる

例えば、スニーカーを新しく買ったと想定してみましょう。
1万円で買ったときには新品のスニーカーはもちろん1万円の価値があります。しかし、あなたがそれを履いて年数が経てば、スニーカーの価値は時間経過とともに減少していくもの。そうした事象を考慮して会計システムに反映させるのが減価償却の元々の考え方です。

物の価値の減少を会社ベースで考えると?

物を買う、資産を得る行為は、企業でも個人事業主でも等しく起こることであり、企業のほとんどは何らかの資産を持っています。中でも1年を越えて使用し、10万円以上で購入したもの(※特例有)は会計上では固定資産と定義されます。
固定資産を具体的に考えてみると、パソコン、機械、事務所や工場などの建物、車、ソフトウェアなどが挙げられます。例えば車を1台100万円で購入した場合、会社の帳簿には経費として100万円の費用を計上しなくてはならないルールです。しかし、減価償却を考慮せずそのまま100万円を経費にしてしまうと、その年だけ費用が膨らんでしまいます。翌年以降も使い続ける資産に対する巨額な費用を購入した年にだけ計上するのは、現実とあまりにそぐわないのです。

経年や使用の劣化による価値減少の矛盾を正す

そしてスニーカーと同様にどんな物もやがてその価値は目減りしていきます。資産としての側面から見ると、100万円で購入した車の資産価値が翌年以降も100万円のまま決算することになり、こちらも現実とは異なるため、世間や株主に正しい経営状況を開示できていないことになってしまいます。減価償却という考え方をすることによって、これらの問題が解決できるのです。

大蔵省が公表した耐用年数表

ペンも車もやがて壊れ買い替え時がやってくるように、物にはすべて耐用年数があります。本来なら使用目的などによって、同じ物でも「A社では毎日使用するから5年が限界だ」「B社は週に一度しか稼働させないから10年は持つ」という風に物の「もち具合」は変わるものです。
しかし、税務上では大蔵省主税局が大正7年に公表した「耐用年数表」をもとに耐用年数を定めないと、減価償却費として認められない決まりになっています。
一例を挙げると、鉄骨鉄筋コンクリート造の事務所用建物の耐用年数は50年、店舗用建物の耐用年数は39年となります。

「壊れるまでが耐用年数」は間違い?

主税局のホームページには、耐用年数の意味として「通常の効用持続年数のことを言う」と明記されています。つまり、用途のために役に立つ、実用できる期間のことを耐用年数と定めているのです。また、商法では固定資産については「相当の償却」を規定しています。

「相当の償却」とは?

相当の償却とは、減価償却をするにあたってどんな会社、事業者も計画的に、みんな同じルールで減価償却しましょう、ということを意味しています。耐用年数表に従い、決算ごとに減価償却を行うというのが、現代の共通ルールですよね。それは、商法に基づいて行われているのです。

減価償却資産は費用として計上し納税負担を軽減

これまでは会社の正しい状態を把握できるため、株主などのためになるのが減価償却だとお伝えしてきましたが、会社にとっても悪いことではありません。なぜなら、減価償却費は実際の支出がないにも関わらず費用として計上できるので、結果として納税負担が軽減されるからです。

所得=収益―費用・損失

納税の義務は、法人でも個人事業主でも変わりません。また、所得に応じて納税額が変動するのも同じです。会社で商売をして手に入れた収入は、人件費用や原価などといった費用を差し引いて純利益となり、所得となります。かかった費用のほかにも、例えば食品ロスを出したりするなど、何か損失があった場合も費用と同じように計上します。
減価償却費は実際に費用として現金を動かすことなく、架空で費用として計上するものです。実際には支払っていないお金ですが、会計上入れなくてはならないため、所得を低く申告することができ、結果として納税額も抑えられるというわけです。

減価償却の対象に当てはまる固定資産の区別の考え方

減価償却の対象は固定資産のみで、流動資産には当てはまりません。1年を越えて継続的に事業に用いる資産なら固定資産に区分して問題ない、というのが一般的な区別の仕方です。

建物や不動産を建てるために買った土地は減価償却の対象?

建物が固定資産として認められるならば、建物を建てるために買った土地ならば、固定資産として勘定できるのではないか?…そんな風に考えるのも自然と思われますが、土地に減価償却を当てはめることは残念ながらできません。同様に、土地の貸借権も資産ではありますが、減価償却することはできません。理由としては「土地は摩耗するものではない」というのが解答です。

減価償却計算の計算方法の―定率法と定額法による違い

減価償却費の計算方法は税法によって定率法と定額法の2種類に定められています。
定率法は購入金額を定率で費用化する方法、定額法は、購入金額を定額で費用化する方法ですが、定額法で行うよりも定率法で行う方が減価償却を終えるスピードが速くなるので、回転率の良い経営が好ましい場合は、定率法の方が向いているといえます。

マンション減価償却の押さえておくべきポイント

マンションを購入しマンション減価償却を行いたい場合、気を付けておくべきポイントがいくつかあります。
まず、購入代金すべてを減価償却に充てることはできません。なぜなら、マンション購入には土地代金も含まれているからです。一般的にはマンションで土地は付いてこないと思われがちですが、そうではありません。ですので、まず購入代金から土地代金を差し引かなければいけません。
そして、マンション本体と建物設備に費用を分けなければいけません。耐用年数が異なるので、ここもポイントです。

プロでも難解な減価償却項目の管理はエクセルやフリーソフトで

税理士の間でも、減価償却明細書や減価償却一覧表、償却資産申告書が添付されていない書類や、減価償却費計算、償却資産税計算を間違えている帳簿を見かけることはよくあるそうです。マンション減価償却、建物減価償却、不動産減価償却、農業減価償却といった少し注意が必要なものもありますから、こうした減価償却項目の管理はフリーソフトで簡単に行うのがおすすめです。
無料でダウンロードできるソフトウェアの中には、エクセルで使用できるフォーマットやテンプレートを配布しているタイプもあれば、エクセルに依存しない新しいシステムを使用しているソフトウェアまで様々です。ぜひ、使いやすいソフトウェアを探してみてください。

減価償却計算は無料ソフトウェアやエクセルを上手に活用

減価償却というのは10万円以上の固定資産を保有するときに費用を一括で計上せず、耐用年数の中で分割して計上していく会計手法になりますが、減価償却費計算の方法は定率法と定額法があり、また資産の科目によって耐用年数が決められており、さらに中小企業に対しては特例がある…など、減価償却を正しく行うにはある程度の知識が必要です。
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