エクセルで複数のシートを比較する方法は、多くのデータを取り扱う際に便利です。条件付き書式を用いることで、異なる部分を簡単に視覚化でき、効率的に作業を進めることができます。
特に、大量のデータを扱う場合や、異なるプロジェクトの統合が必要な場合に、このスキルは役立ちます。
このページでは、エクセルでのシート比較方法や条件付き書式の活用術について解説しています。

ファイル比較ソフトで差異や差分を把握する
仕事では、テキストファイルやExcelファイル、Wordファイルなど、さまざまなファイルやシートを使います。これらの作成したファイルやシートを比較するシーンも多くあります。
例えば、月ごとや年ごとのデータを比較する場合です。売上や利益などの営業成績や、客数の増減など月ごとや年ごとのデータを比較し、現状や問題点の把握をすることができます。また、ファイルやシートを比較することで、予算と実績のように、見積もりと実績にどのような差があったかなどを把握することも可能です。
それ以外にも、似たようなファイルやシートがある場合に、2つのファイルやシートを比較し、最新のものや必要なものがどれか整理することも可能です。
これらファイル・シートの比較は、一つひとつ手作業で確認するとなると大変です。そのため、通常は比較用のソフトを使って差異や差分を把握します。
エクセルで条件付き書式によるシート比較をやってみた
エクセルのシート比較
エクセルのシートを比較する場合、フリーソフトを導入するのも良い方方法ですが、エクセルでの作業によるシート比較でも対応することができます。
データが酷似したエクセルのシートを比較したり、複数管理されてしまったエクエルのシート比較をするなど、使う場面はさまざまだと言えるでしょう。
エクセルには、標準でシート比較を行う事ができるツールなどが備わっているわけではありません。そのため、似たようなエクセルシートが存在した場合は、更新日付などで比較をして最新ファイルかどうかを確認するといったのが一番簡単な方法ですが、トラブルが発生しそうな手法とも言えます。こうしたトラブルを避けるためにも、シート比較を行うための方法について紹介します。
条件付き書式によるシート比較
2つのシートを比較する方法の一つとして、条件付き書式を活用する手法があります。
条件付き書式とは、シートの表に含まれている値に対して、あらかじめ指定しておいた条件とマッチした場合に、セルに色を付けたり文字のフォントを変えたりなどが適用される機能です。
これであれば、一覧の中から条件にあった値などを簡単に見つけ出すことができます。
例えば、表の中に「■」や「○」といった特定の文字が含まれているものだけを洗い出す時などには、■が入っていればセルを赤く、○が入っていればセルを青くなどの指定をすることで、二つのエクセルの差異を見つけ出す事が可能です。
データ量が多い場合のシート比較
データ量の多いエクセルのシート比較を行うことも少なくありません。こういった場合は数式を用いた条件付き書式を設定することで、セルに色などを付けてシート比較を行う事ができます。この場合のシート比較は、数式を指定した条件付き書式は、他のエクセルファイルで適用する事ができません。そのため同エクセルファイル内、いわゆる同じブックで行う必要があります。
そこで、比較したいシートを新たなブックに集約して条件付き書式を使用するという方法が、作業手順的にも簡単でおすすめです。
シートのコピーは、対象となるシートの右下にあるノンブルを右クリックすることで、シート移動やコピーのメニューが出てきます。そのメニューにある「移動またはコピー」を選択し、「移動先ブック名」にシートを集約したいブック名を選ぶことでシートを集約できます。
注意しておきたいのは、このメニューの下にある「コピーを作成する」というチェックボタンです。初期設定では、この「コピーを作成する」チェックボタンにチェックが入っていないため、そのままOKボタンを押すとシートが集約したいブックに移動してしまいます。
複数のシートを管理する危険性を排除するために、シートを移動して条件付き書式を設定するのも良いのですが、加工前のデータを作業が終わるまで保管しておくことで、例えば、加工時に間違ってデータを削除してしまったなどといったトラブルが発生しても、加工前の状態に簡単に戻す事ができます。そのため、加工が終了するまでは加工前のデータは保管しておくことがおすすめです。
こういったことに対処するため、シートの集約時には、「コピーを作成する」のチェックボタンにはチェックを入れ、元となるデータを複製して作業に取り掛かるようにしましょう。
知っていると便利なエクセルのシート比較方法
シート比較はエクセルブックで集約する
実際に作業する時には、先に説明したように比較するためにシートを集約します。そこで、エクセルブックを新たに作成するのが一番わかりやすいはずです。
例えば2つのシートを比較したい場合、新たに作成されたエクセルブックに対して、比較したいシートをコピーします。コピーはデータを全て選んで、まっさらなシートにコピー&ペーストする方法があります。この方法であれば、数字や日付といったデータの形式を気にすることなく、すべて同じデータ形式として扱う事ができます。
ただし、同じようなデータを比較するのであれば、先に説明したシートのコピーを利用するのがおすすめです。シートをコピーした後は、それぞれのシートにどちらがどの時点のどういったデータかわかるように、ノンブルに名前を付けておくとトラブルを防げます。「Sheet1」というシートをそれぞれ同じブックにコピーしてきた場合、二つ目以降は「Sheet1 (2)」という名前が割り振られてしまうため、データの管理として不適切な状態になるからです。シートの名前を複雑なものにしても仕方ないので、簡易的な名前にするのがおすすめです。
シート比較のスタイル設定
シート比較を行う新たなエクセルブックが作成できたら、どちらかのシートを選択し、シート内の比較したいデータ範囲を選択します。シート全体を選択したいのであれば、CtrlキーをAを一緒に押すことで、全体選択が簡単に適用されます。
選択した後に、「ホーム」メニューにある「スタイル」グループから、「条件付き書式」を選択し、「新しいルール」を選びます。
選択後、「新しい書式ルール」というダイアログが表示されますので、そのダイアログ内にある「ルールの種類を選択してください」という一覧の中から「数式を使用して、書式設定するセルを決定」という項目を選択します。
選択をすると、ダイアログ下部に表示されている「ルールの内容を編集してください」の項目内に「次の数式を満たす場合に値を書式設定」というボックスが表示されます。このボックス内に「=A1=(比較対象のシート名)!A1」と書き込みます。これは、現在作業しているシートのA1セルと比較対象となるシートのA1の値が等しいという意味を表しています。こうすることで、対象のセル内のデータが等しいかどうかをチェックすることができるのです。もし、等しくないという条件を与えたい場合は「=」の部分を、等しくないという意味を表す「<>」に置き換えて設定してください。
マウス操作でシート比較範囲が変わる
書式を変更させる条件を満たすための式を設定した後は、「書式」ボタンを押して、対象のセルに対して、フォントを変えたり、罫線を引いたり、塗りを指定したりといった、セルに対しての指定を行う事ができます。
上記で設定したセルの書式設定はA1に対しての対象となりますが、セルを複数選択するなどして指定をすると、対象のセルに書式設定が追加されます。
なお、書式設定の「次の数式を満たす場合に値を書式設定」で値を加工している際には、マウス操作はエクセル内のセルの移動操作を伴います。マウスによるセル移動を感知して、「次の数式を満たす場合に値を書式設定」の値も変更されシート比較の範囲が変わってしまいますので、設定時には注意しましょう。
条件付き書式のシート比較の注意点
条件付き書式を使用する時に注意したいのが、セル内の文字列に対して適用されるというところでうす。
例えば、「2」というセルと「=1+1」というセルが混在していたとします。セル内のデータをチェックすると確かに「2」と「=1+1」なのですが、セルに表示されている値はどちらも「2」です。
こういった場合は、「2」という値で判断するのではなく、「2」と「=1+1」という文字列に対して条件付き書式の判定が適用されるため、同じデータだとは判断されないのです。
もし、数字と数式が混在しているデータを比較したい場合は、「形式を選択して貼り付け」などから値としてセル内に再度、データをコピー&ペーストする必要があるのです。
もし、そのままのデータで比較するのであれば、マクロなどを使用して比較させる方法を取り入れる必要があります。マクロは動作を記憶させるだけではなく、VBAとしてプログラムのロジックを組み込む事ができます。
エクセルのシート比較ができるフリーソフト
シート比較にマクロを使う
書式設定以外でシート比較やブック比較をする場合は、先にも触れた通りVBAなどのマクロを活用する方法があります。マクロは動作を記憶させる方法とプログラムを作成する方法などがあります。今回の、シート比較などを行いたい場合については、プログラムによるマクロ作成が成功しやすいといます。
自分でVBAを構築するのが困難な場合は、フリーソフトとして提供されているアドインを導入するのがおすすめです。アドインは、すでに作成されているVBAを自分のエクセルに導入することができるツールです。
アドインを導入する方法については、インターネットで探すだけで簡単に見つけることができます。アドインは、エクセル上にボタンを作るなどして、まるでエクセルに組み込まれているソフトのように使用する事ができます。
アドインには色々な種類がありますので、シート比較だけではなく、いろいろな種類のアドインを探し自分の作業にマッチしたツールを導入するのもよいと言えるでしょう。
シート比較にフリーソフトを使う
複数のブックやシートを比較する時には、書式設定やアドインだけでは対応できない場合があります。こういった時には、フリーソフトなどのソフトウェアをダウンロードして使用するのが良いでしょう。
また、複数のブックやシートを比較するという目的ではなく、定期的に比較する事があるといった場合も、ソフトウェアを導入するのがおすすめです。
機能的には似たソフトウェアであっても、それぞれのソフトにより使い勝手やできる事が違います。
フリーソフトであれば、ダウンロードして試しに使ってみるということが気軽にできます。また、それぞれの作業に対して複数のソフトを導入しやすいと言うのもフリーソフトの醍醐味です。
エクセルのシート比較は効率的に
エクセルのシート比較には、書式設定による比較、マクロやVBAによる比較、アドインを導入することによる比較、そしてフリーソフトなどソフトウェアを導入する方法といった方法があります。
どの方法も一長一短があり、それぞれの方法に得手不得手があります。
自分の使い方にあったツールを選ぶのも良いですし、用途に合わせて複数の手法を組み合わせたり取り入れたりするのも良い方法です。
ただし、ツールも使い方によっては作業効率を低下させることがあります。自分に必要なポイントを見極めて、作業の効率性が向上するような手法を検討して取り入れるようにしましょう。