間取り図作成の基本と実践テクニックをプロが解説!

不動産業、収支計算



間取り図は建物の内部空間を効率的に利用するための計画です。平面計画を立てる際には、機能的・文化的側面を考慮することが求められます。また、空間や視線の抜けの活用や、引戸を利用して広く見せる方法など、実際の間取り作成時に役立つポイントもあります。ワンルームの仕切り方や部屋の効果的な仕切り方についても理解を深めておくことが大切です。このページでは、間取り作成の基本と実践テクニックについて解説しています。

間取り図作成のフリーソフト・エクセルテンプレート
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間取り図の概要

間取り図とは、建築物の内部配置を示すための平面図で、建築設計では実際のサイズの1/100から1/30の縮尺で描かれることが一般的です。この図面は、住居の一部屋一部屋をどのように配置するかを視覚的に示し、家の全体像をわかりやすく伝えます。

不動産広告に用いられる間取り図は、その目的により縮尺が異なることがあります。例えば、一部の不動産広告では物件の全体像を把握しやすくするために縮尺を小さ目に設定することがあります。この図面には、扉や窓などの建具の位置や形状が明記され、日本産業規格(JIS A 0150)に基づいた「平面表示記号」が使用されます。しかし、実際には記号の使用にバリエーションが見られ、片開き窓の記号が片開き戸に使用されるなどの違いが生じることもあります。

間取り図には方角の示示や各部屋の位置関係が重要です。特に部屋の用途、たとえばリビングルーム、キッチン、バスルームなどの表示が求められ、それぞれの広さは畳数で示されることが多いです。和室の場合、畳の配置まで細かく描かれることもあります。また、建具の開閉方向や、浴槽や洗面台などの固定設備も詳細に描かれることが一般的です。

間取り図の作成には、専業の製図技術者がコンピュータ支援設計(CAD)を用いて行うことが多いです。しかし、厳密な図面が求められない場合には、一般の人でも簡単に間取り図を作成できるソフトウェアが普及しています。これらのソフトウェアは有料のものから無料のフリーウェアまで様々な種類があり、部屋の家具配置の検討や新居の設計段階でのアイデア出しに利用されています。

近年、間取り図作成ソフトウェアはさらなる進化を遂げ、3D表示やVR技術を活用することで、よりリアルに空間を視覚化できるようになりました。これにより、使用者は実際にその空間にいるかのような感覚で、一つ一つの部屋の配置やデザインを確認することが可能となり、設計の精度や使いやすさが向上しています。また、不動産業界では、これらの技術を駆使したバーチャル内見サービスも提供され、顧客は現地に行かずとも物件の詳細を把握できるようになっています。

このように、間取り図は建築設計の基礎から不動産広告、そして居住空間のプランニングに至るまで、幅広い用途と重要性を持つツールとなっています。精度の高い間取り図を作成することは、快適な住環境の提供に繋がる重要なステップなのです。



間取り図の平面計画

住宅における間取り図の平面計画は、住居内の空間を効率的かつ快適に使うための重要な要素です。住空間は大きく分けて三つのカテゴリに分類され、それぞれに異なる機能が求められます。具体的には、「個別利用の空間」、「共用の生活空間」、「日常生活に必要な機能を担う空間」が挙げられます。

まず、「個別利用の空間」について考えてみましょう。この空間には、主にプライベートな時間を過ごすための部屋が含まれます。たとえば、「寝室」は一日の疲れを癒すための場所であり、静かで落ち着いた環境が求められます。また、「書斎」は集中して仕事や勉強を行うためのスペースであり、これも個人的な用途に特化した空間です。「子供部屋」も同様に、子供が自分の時間を過ごすための大切な場所です。これらの空間は、個々のニーズやライフスタイルに応じて、配置やデザインが工夫されることが望まれます。

次に、「共用の生活空間」を見ていきましょう。この空間は、家族や訪問者が共に過ごすためのスペースです。「リビングルーム(居間)」は家族が集まってリラックスしたり、テレビを見たりする場所ですし、「ダイニングルーム(食堂)」は食事を楽しむための空間です。また、「ゲストルーム(客間)」も含まれ、訪問者を迎えるための準備が整えられたスペースです。これらの共用空間は、家族やゲスト間での交流を促進し、住まい全体の雰囲気を形成するために重要です。

最後に、「日常生活に必要な機能を担う空間」について説明します。このカテゴリには、「キッチン(台所)」、「バスルーム(浴室)」、「トイレ(便所)」といった基本的な設備が含まれます。キッチンは料理を作る場所であり、機能的かつ使いやすいデザインが求められます。バスルームやトイレは衛生面で非常に重要であり、清潔さが保たれることが大切です。また、「玄関」や「廊下」は交通動線として機能し、快適な移動をサポートします。「収納スペース(押入れ)」も同様に、日常生活を効率的に行うための重要な役割を果たします。

上記の空間をどのように配置するかは、それぞれの相関関係と家事動線を考慮することが必要です。たとえば、「キッチン」と「ダイニングルーム」は、料理から食事までの流れをスムーズにするために近接して配置されることが一般的です。このように、相関関係の強い空間を物理的に近づけることで、生活の効率を大幅に向上させることができます。また、「食寝分離」の原則に基づき、食事と就寝の機能を物理的に分けることで、快適で衛生的な生活環境を確保することが重要です。

全体として、間取り図の平面計画には慎重な配慮が必要であり、住む人のニーズやライフスタイルを反映させた設計が求められます。それにより、各空間が最大限に機能し、住む人々が快適で充実した生活を送ることができるのです。



間取り作成の基本

建物の設計において、間取りは非常に重要な要素です。間取りを考える際には、単に機能性だけでなく、その建物が存在する文化や風土、地域の特性、さらには住む人々の国民性なども深く影響します。ここでは、間取りに影響を与える基本思想として、機能的側面と文化的側面の二つについて詳しく説明します。

以下のように、多岐にわたる要素を総合的に考慮することで、最適な間取りが作り出されます。これが「間取り作成の基本」に求められる視点です。

機能的側面

建築物の最適な機能性を追求することは、間取り作成にとって非常に重要です。建物の使用目的を達成するためには、内部で行われる諸活動の効率をいかにして向上させるかを考慮しなければなりません。

具体的には、以下のような点を考慮に入れます:

個人的行為の近接性としては、就寝や休養、学習など個別の行為がスムーズに行えるように、そのための空間が近接していることが重要です。

連続する行為の動線については、調理から配膳、食事、そして後片付けといった一連の作業が連続して行えるようにキッチンとダイニングの位置関係を工夫することが求められます。

類似的な行為の統合については、食事と団欒など、関係性の深い活動を行う空間が近接していると便利です。

相反する行為の分離については、食事と就寝など、矛盾する行為は明確に分けることで、生活の質を向上させることができます。

こうした要素を全て考慮すると、限られた空間内で複数の機能を効果的に兼用させるという発想が生まれます。例えば、個々の機能別に設ける「子供部屋」、調理と食事空間を一体化した「ダイニングキッチン(DK)」、さらには調理、食事、そして団欒を一緒にできる「リビングダイニングキッチン(LDK)」が具体例として挙げられます。

文化的側面

間取りはその地域や文化にも大きく影響されます。日本の住宅設計では、例えば風通しや日当たりが重要視されることが多く、伝統的な和室と洋室を併設する設計もよく見られます。また、地域ごとの気候条件によっても、適切な間取りは異なります。寒冷地では断熱性能が高く、暖かい地域では風通しの良い構造が求められます。

これに加え、家族のライフスタイルや価値観も重要な要素です。一つの部屋を多目的に使用する「タタミルーム」や、玄関から続く「土間スペース」など、日本特有の生活習慣を考慮した間取りも多く見られます。

実際の間取り作成時のポイント

間取りを作成する際の具体的なポイントとして、以下の点も忘れてはいけません。

将来の変化を見越す

家族の成長やライフスタイルの変化によって、必要な空間や機能も変わるため、柔軟性のある設計が求められます。

周囲環境との調和

周囲の住宅や自然環境との調和を図り、プライバシーを守りながらも開放感を持たせることが重要です。

エコを意識する

省エネ設計や自然光を巧みに取り入れることで、環境にも優しい住環境を実現することが可能です。



空間や視線の抜けを活用

不動産物件資料としてチラシ作成を行うことがよくありますが、CADがなくても、エクセルやフリーソフトを活用することで間取り図作成を行うことができます。
ここでは間取り図作成やチラシ作成の際に魅力的な間取りを計画するための方法を説明します。

視線の通りを良くして、空間を面積以上に広く感じさせることを、空間や視線の抜けをつくると表現します。
視線を部屋のある場所に集まるように計画し、さらにそこに空間の広がりを感じるような工夫をすることで魅力的な間取りとなります。

不動産物件資料を作成する際にはフリーソフトやエクセルテンプレートを利用することで、簡単に顧客を引きつけるチラシ作成ができます。

①ワンルームの狭い部屋を広く見せる方法

ワンルームの狭い部屋であっても、空間や視線の抜けをつくることで広く見せることが可能です。
例えば、同じ大きさの部屋であっても、部屋の真ん中にいるとあまり広さを感じませんが、部屋の隅にいると広く感じることがあります。
これは、部屋の中心にいると自分が認識できる空間の範囲は部屋の範囲の半分となってしまいます。
部屋の隅に立つと部屋全体を見渡すことができるため、広い空間と認識するためです。
同じ部屋であっても、視線の距離によって広く感じることができます。

具体的には、以下のような工夫をすることで、抜けをつくることができます。
・キッチンを部屋の隅に設け、その対角上に窓やテラスを設けることでキッチンに立つと視線が外に抜けていく。
・部屋の長辺方向軸に窓を配置することで視線の抜けができる。
・ダイニング脇やダイニングに座ったときに見える先に窓を配置することで視線が外に抜けていく。

②廊下・階段を利用して広く見せる方法

住宅の廊下、階段は、一般的には壁で囲まれた閉鎖的な空間となりがちです。
しかし、そんな廊下、階段でも工夫次第で開放的な空間とすることが可能です。
例えば、階段のステップだけのオープン階段とすれば、視線の抜けが生まれ、開放的な空間とすることができます。
その他にも、廊下や階段がつながる先の部屋に向けて視線の広がりが感じられるように部屋を配置することで、閉鎖的な空間から開放的な空間へ広がっている印象を与えることが可能です。

具体的には、以下のような工夫があります。
・家の中央に吹き抜けとオープン階段を配置し、吹き抜けを中心に左右対称にスキップフロアで部屋を配置します。
そうすることで、部屋の上下階が吹き抜けを介してつながっているように感じ、空間に広がりを与えることが可能です。
さらに吹き抜けの上部にトップライトを設けるとより効果的です。
・縦に細長い形状の家では、部屋と部屋をつなぐ廊下が必要となります。
その廊下を家を一直線に通過するように配置し、視線の先に窓やバルコニーを配置すると、視線の抜けが生まれ、空間に広がりを与えることが可能です。
また、家の短辺方向にも人の視線が留まる箇所に窓を配置し、外への視線をつくることで、短辺方向の狭さを感じさせないことが可能です。
・地下階や半地下となる部屋には、ドライエリアを設けるのが有効です。
階段で降りた先にドライエリアを配置し、ドライエリアを照明で照らせば、地下へ向かう階段の先を明るい空間とすることが可能です。



引戸を利用して広く見せる

家族で暮らす場合には、部屋をいくつかに仕切る必要があります。
家族であっても、最低限のプライバシーを確保するために、寝室や脱衣所などは仕切ることが多いです。
部屋を仕切るためには、壁の他に扉を設ける必要があります。
扉が閉まっていると部屋は狭く感じますが、扉を開放することで部屋を広く見せることが可能となります。
さらに、扉を引戸とし、引戸を壁の中に収納してしまえば、部屋と部屋がつながっているような印象を与えることが可能となります。
また、必要なときは引戸を閉じれば、プライバシーを確保することも可能となります。

具体的には、以下のような工夫があります。
・ワンルームの部屋でLDKと玄関ホールの間に引戸を設けます。
そうすることで、狭い玄関ホールからLDKへの空間の広がりを感じることができます。LDKの視線の先に窓や庭を配置すると、より効果的です。
・狭いワンルームに隣接する廊下や階段の間に引戸を設けることで、ワンルームと廊下、階段が一体の空間となり、部屋の広がりを感じることができます。
・玄関ホールとリビングを引戸で仕切ることで、リビング空間を玄関まで拡張するだけでなく、プライバシーのコントロールもできます。
普段は開け放して広くできる一方で、来客時には閉めることでプライバシーを確保できます。

このように様々な方法で視線や空間の抜けがある魅力的な間取りが計画できます。
CADが使用できない方でも簡単に間取り図作成できるエクセルやフリーソフトがダウンロード可能ですので、ぜひ挑戦してみましょう。

部屋の仕切り方

部屋を分けるときには、通常壁を使って仕切ると思います。
しかし、ただ壁で仕切っただけでは魅力的な間取り図作成はできません。
ここでは様々な部屋の仕切り方を紹介し、一味違う不動産資料作成の方法を説明します。

また、不動産資料作成に便利なエクセルやエクセルテンプレートが無料で公開されています。
ご自身に合ったものを比較検討してみましょう。

①収納を利用した仕切り

家には収納が必要となります。
また、部屋の使い方が異なれば、その分用途に応じたものが必要となり、それを収納するスペースが必要となります。
しかし、収納を増やせば増やすほど、居住スペースは狭くなり、天井高くまで設けた収納は部屋をより狭く見せます。

そんなときは間仕切りと収納を兼用することで、収納を確保しつつ部屋を区切ることができます。
・ダイニングに隣接してワークスペースを配置することがあると思います。
集中して仕事をするためにはダイニングとワークスペースの間に間仕切りを設置することが有効です。
間仕切りを設置すると部屋が狭くなり、圧迫感を与えてしまいます。
そんなときはダイニングとワークスペースの間に高さ1500mm程度の収納間仕切りを配置すると、圧迫感を与えずに空間を仕切れ、かつ収納スペースを確保することができます。
・集中して料理がしたい方はキッチンをダイニングから見えないように間仕切りを設けるとよいでしょう。
ただし、完全にダイニングとキッチンを壁で区切ってしまうと部屋の一体感がなくなってしまいます。
そこでダイニングとキッチンの間に2m程度の食器棚兼間仕切りを配置し、食器棚上部の空間でダイニングとキッチンをつなげることで部屋の一体感を得ることができます。

②玄関・廊下・階段を利用した仕切り

家には居室、収納の他にも、玄関、廊下、階段などのスペースが必要となります。
都心の住宅では、どうしても面積が狭くなりがちです。
そんなときには玄関、廊下、階段などの通常デッドスペースとなってしまう空間をうまく活用しましょう。

平面的にだけでなく、立体的にこれらの空間を利用することで、ただの通路だけではない空間とすることができます。
・駅近の分譲住宅地では南側前面道路に面した間口が狭くなりがちです。
そこに広い玄関を配置すると、せっかくの明るい家の南面がより狭くなってしまいます。
そこで玄関を最小限のスペースとして、かつ玄関に隣接して配置したリビングより高さを下げるとよいでしょう。
空間を仕切りつつ、リビングと玄関を一体として空間を広く使うことが可能となります。
・階段をリビングに隣接させる際には、部屋の落ち着きを失わないようにするために、昇り口を部屋に対して直交方向に配置します。
やむを得ず部屋に面した箇所に昇り口が来る場合には、高さ1500mm程度の衝立を配置すると、部屋の落ち着きを確保することができます。
・リビングに面した階段は、壁で完全に仕切ってしまいがちです。
階段上を吹き抜け空間として、リビングとつなげることで、空間のつながりを感じることができます。
狭いリビングでも階段上の空間を活用することで広い印象を与えることが可能です。

ワンルームの仕切り方

ワンルームの部屋では、一つの空間にリビング、ダイニング、キッチンの要素を盛り込む必要があります。
それぞれを区切らず、ワンルームとすることで空間を広く使えることができます。
用途の違う部屋が一緒になることで使いづらい空間となってしまうこともあります。

ワンルームのLDKは、広さを確保しながら各用途に合わせて空間を仕切ることが重要です。
・キッチンはものが増えて雑然とした空間となりがちです。
そんなキッチンがリビング、ダイニングに面していると、リビングとダイニングも雑多な空間となってしまいます。
そこで、リビング、ダイニングとキッチンの間に収納も兼ねたボックス空間を配置し、収納上部を吹き抜けでつなぐことで空間の広さを感じつつもキッチンとリビング、ダイニングを仕切ることができます。
さらに、ボックス空間の上部にトップライトを配置すると、全ての部屋に光を落とすこともできます。
・ワンルームでは玄関からリビングスペースが丸見えとなってしまうことがあります。
それを避けるために玄関とリビングの間に壁を設けると、今度は部屋が狭くなってしまいます。
そのような時は、玄関とリビングの間に壁に収納可能な引戸を設けることが有効です。
普段は引戸を収納しておくことで、空間を広く利用し、来客時には引戸で仕切ることで玄関からの視線を遮ることができます。
・リビング、ダイニングとキッチンを仕切る場合には、高さ1000mm程度の袖壁を設けます。
リビング、ダイニングの落ち着きを確保しながら空間としてのつながりを感じることができます。
・同じワンルームにある部屋でも、天井の高さを変えることで間仕切りなしで空間を仕切ることができます。
例えば開放感の欲しいリビングの天井高は高くして、集中して作業したいワークスペースは天井高を低くすることで、同じ部屋でも機能の違いを感じることができます。

部屋の仕切り方だけでも、これだけたくさんのアイデアがあります。
間取り図作成には特殊なソフトが必要と思うかもしれませんが、エクセルやフリーソフトでも十分作成可能です。
不動産物件資料の作成を専門業者に依頼すると、多額の費用がかかります。
自分で作れれば、コスト削減が可能です。エクセルテンプレートなども活用して魅力的なチラシ作成を行いましょう。

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